— for jardin du I'llony

花をいじる時間を、
もう一度ぜんぶ、お返しする。

A first conversation about fleurisme & AI
2026.05.12 / 初回ご挨拶 / DX担当より 谷口さんとスタッフのみなさまへ
jardin du I'llony × DX — Day 1
Day 1

今日、私はここに「変えに」きたのではなく、
「聞きに」きました。

持ってきたもの

  • 公開情報を 1日かけて読み込んだ「アイロニー理解レポート」
  • 業界・先行事例・使えるツールのスキャン
  • 明日からの90分のための問い 14個

持ってきていないもの

  • みなさんの仕事を見ずに作った「正解」
  • "DXコンサルがよく描く" あの絵
  • fleurisme への侵入

今日のゴール:私が 何を理解していて、何をまだ知らないか を共有して、最初の対話の地図をひくこと。

Agenda

本日お話ししたいこと

  1. 私が見た「アイロニーという会社」
  2. 谷口さんの言葉から読み取った、いまの景色
  3. 私のミッション理解 — 花をいじる時間を、最大化する
  4. 触ってはいけない領域 — 聖域の設定
  5. 業界の景色 と 先行事例 から学べること
  6. クイックウィン候補と、検討すべき大物
  7. 最初の30日の進め方
  8. みなさんに聞きたい14の問い
CHAPTER ONE

私が見た、アイロニーという会社

A portrait

jardin du I'llony — ひとつの輪郭

2000年、谷口敦史さんが 独学で 始めた花屋。芦屋・南青山・パリ。日本人として 初めてパリに支店を構えた フローリスト。

モナコ アルベール公爵後援、コロンナ家プリンセス主催の舞踏会、パリ五つ星ホテル LES BAINS PARIS — 世界の 難しい依頼者 の信頼を集める。

同時に、写真集6冊累計 6万部超。note 有料マガジン。Owners Club。認定校 全国約 70 校。花屋ブランドであり、メディアであり、コミュニティ

事業の柱

  • リテール(3店舗 + EC 247 SKU)
  • ウェディング & イベント装花(ラグジュアリー)
  • サブスク(セゾニエ、10年ブーケ)
  • スクール事業(ディプロマ、SBC、マスター)
  • 認定校 70校 全国展開
  • メディア(写真集 / YouTube / note)
  • コミュニティ(Owners Club 49名)
  • 構想中: 映像・旅・農業・宿泊
By the numbers

数字で見るアイロニー

26
創業からの歳月(2000–2026)
3
店舗(芦屋 / 南青山 / パリ)
~70
認定校 全国
17万+
Instagram フォロワー (個人+ブランド合計)
247
オンラインストア SKU
49
Owners Club メンバー
¥39M
Owners Club 調達額 (2025年8月)
3
対応言語(日本語 / 英語 / 仏語)

出典: illony.com 公式 / illonyshop.com / note.com/illony / Instagram公開情報。実数値は別途共有頂けると、より精緻な提案ができます。

Fleurisme

谷口さんの言葉

自分が きれいだと思わないもの は作りたくない。
人は 原風景に近いもの を美しいと感じやすい。
束ねた人がわからないような、自然に還すような束ね方を目指す。
— サイボウズ式 / おもてなしパートナーズ 各インタビューより構成

この姿勢は このプロジェクトの北極星 です。AIや自動化はここを 侵さない という前提で全てを設計します。

From the recent blog

そして、いま聞こえてくる声

会議やデスクワークを連日続けていた。
自分がすべき仕事に、少しずつフォーカスできてきた。
— アイロニーブログ 2025.08.22

この一文を読んだとき、私は「あ、私の仕事はここから始まるんだ」と思いました。

花のクリエイティブをやるべき人が、会議とデスクワークに時間を取られている。これは谷口さんお一人の話ではなく、スタッフ全員に重なる構図のはずです。

CHAPTER TWO

私のミッションを、
シンプルな1行に。

Mission, in one line

フローリストの 「花をいじる時間」 を、
会社の 最大の資産 として扱う。

それ以外(受発注、梱包伝票、SNS下書き、認定校連絡、多言語問合せ、撮影、議事録、経理…)に取られている時間は、AIと自動化に 少しずつ返してもらう

花への審美眼・束ね方・色気の判断は、人間にしかできない。だからこそ、それ以外の時間を取り戻す価値がある。

Sanctuaries

最初に決めておきたい「触らない領域」

この合意がないと、すべての提案が信用されなくなります。今日の 最重要議題 はここです。

× AIに触らせないと宣言したいこと

  • 花の選定、束ね方、配色 — fleurisme の核
  • お悔やみ花のような感性案件の最終判断
  • 谷口さん本人の言葉そのものの公開(下書きまでがAI)
  • 顧客の顔・名前を学習させること
  • 追加で議論したい

任せていい/任せたいことの候補

  • 定型問合せの一次回答 (日/英/仏)
  • SNS・note の 下書き
  • 注文情報の整理・配送伝票生成
  • 認定校向け花材リストの自動構成
  • 議事録・スケジュール整理
CHAPTER THREE

業界の景色と、先行する花屋たち

Macro

花卉業界 — 知っておきたい5つの数字

1.1兆円
国内花き消費額 — しかし農業就業者の 71.7%が65歳以上、約7割の経営体が後継者なし
農林水産省 2024年
30–40%
業界推定 フラワーロス率。年10億本、約1,500億円 が廃棄。食品ロスを上回る
業界推計 / Nol, RIN ほか
918億円
花・植木小売 大手315社の合算売上 (2024)。11社で57.5% を占有。倒産は年 79件 で高止まり
東京商工リサーチ 2024
15.2%
男性が「自分用に花を買う」比率 (女性 29.6%)。アイロニーの未開拓セグメント
オークネット総研 2020
6.8億€
フランス切花市場規模。輸入依存47%。パリは「規模より職人 × ブランド」モデル
FranceAgriMer 2023–24

フラワーロス率は業界推計(公式統計なし)です。発言時は「業界推計で」と添えるのが安全。

A finding worth a slide of its own

"AIで 送らない" という選択が、LTVを 1.7倍 にした事例があります。

Bloom & Wild の Thoughtful Marketing

英 D2C 花ブランド Bloom & Wild は、母の日の販促メールを 受け取らない選択肢 を顧客に提示した。

  • オプトアウトを選んだ顧客: 約18,000人
  • SNS エンゲージメント: 4〜5% → 20%(4倍)
  • ポジティブ反応: 平均の 5倍
  • オプトアウト顧客のLTV: 非オプトアウトの 1.7倍

出典: Econsultancy / The Drum / Sacra

私の解釈

アイロニー(irony) という名前のブランドが、AIで 量を送り続ける のは、ブランドの意味と矛盾します。

私は 「送る量を増やすAI」ではなく、「送るべきタイミングを賢く選ぶAI」を提案したい。これは皮肉でも何でもなく、最も儲かる方向でもあります。

Case studies

その他の先行事例 — 真似るもの、真似ないもの

日比谷花壇 真似る

O2Oサブスク「ハナノヒ」 会員 47,000名 (2024.02)。アプリ+実店舗受取の体験設計。AIレコメンドはEC側で。

HitoHana 学ぶ

SPA型EC、累計登録20万人、レビュー4.8/5.0。「写真=届く現物」一致率が最大の差別化。

UrbanStems 学ぶ

需要予測の精度ピークは 「直近3ヶ月」。長期予測幻想を持たず、短期サイクルで回す設計思想。

FLOWER (Crunchstyle) 参考

ロスレスブーケ = 在庫消化型。AIで予測するのではなく、運用設計でロスを商品に変換するオルタナティブ。

McQueens (UK) 敬意

高級フローリストは 「テック発信を控える」。DXを語らない美学。アイロニーが選びうるブランド戦略。

Bloomee 真似ない

累計会員30万、累計40億円調達。価格訴求 × ポスト投函の 下限価格レンジ を作っている。アイロニーは絡まない方が良い。

CHAPTER FOUR

はじめにどこを触るか — 仮説の地図

Hypothesis map

みなさんの「花じゃない時間」を、私はこう想像しています

※ これはあくまで 外側から見た仮説。明日以降のヒアリングで精緻化していきます。

受発注 / 顧客対応

EC受注確認・電話メールDM・多言語問合せ・来店予約管理・弔花のヒアリング

仕入れ / 制作前後

市場発注・水揚げ・在庫管理・梱包・配送伝票・配送車運転とルート

撮影 / コンテンツ

商品撮影・IG投稿・Reels編集・YouTube・note週報・ライブ配信オペ

スクール / 認定校

70校への花材セレクト・デモ動画配布・受講者Q&A・試験運営・修了証発行

コミュニティ

Owners Club 特典・誕生日ブーケ・メルマガ・イベント告知・参加者管理

経営 / 管理

3店舗 + 認定校 + EC + 教育の数値把握・採用・原価・労務・新規事業構想

Quick wins

最初の3本 — 効きやすく、聖域を侵さないところから

① note 週報 & SNS の "下書き AI"

谷口さんの過去原稿を学習させ、声を保ったまま 初稿を量産。最終は必ず本人の手で。

想定: 1記事あたり 60分 → 15分

② 多言語 問合せ一次回答

日/英/仏 を 1つの受信箱で。FAQ自動分類 + テンプレ返信。人が判断すべきは人へ転送。

想定: パリ店の時差対応負荷を圧縮

③ 認定校70校への花材セレクト連絡 自動化

月次の花材リスト・出荷ステータス・受講生Q&A 一次回答を 谷口さんの選定基準 でテンプレ化。

想定: 月の認定校オペレーション時間を 50% 圧縮

※ 数字はあくまで 仮説。実態を測って正直に修正していきます。

Bigger bets

大きいが時間が必要なもの

領域やることインパクト必要時間
EC一気通貫注文 → 制作指示書 → 配送ラベル → 顧客通知の自動化2〜3ヶ月
需要予測 + 仕入れサジェスト過去注文 × 季節 × イベントから仕入れ量提案 → 廃花削減3〜6ヶ月
谷口さんセカンドブレイン会議メモ・アイデア・10年100億計画の進捗ダッシュボード中-高1〜2ヶ月
撮影 → 多チャネル配信パイプライン撮影画像をAIが補正・タグ付け・IG/web/EC同時投稿2〜3ヶ月
スクール LMS 統合認定校・受講生・ディプロマ進捗を1つに3〜4ヶ月
Toolbox

道具の見立て — どれを使いそうか、ざっくり

確定ではなくスキャン結果。最終はみなさんのご意見と現場をみてから。

レイヤー候補役割
背骨(EC + POS)Shopify (Markets + Translate&Adapt + POS Pro) または スマレジ + 既存EC3言語×サブスク×多店舗を1IDで束ねる
サブスク管理Shopify Subscriptions / Rechargeセゾニエ・10年ブーケのスキップ/解約抑止
翻訳・多言語DeepL API Pro + Weglot用語をブランド辞書で固定 → 校正は人
顧客対応AIチャネルトーク AI ALF (国内) + Intercom Fin (海外)一次回答自動化、人が判断すべきは人へ
SNS / コンテンツLater + Canva Magic + Adobe Firefly + Claude/GPT3言語SNSの量産、ブランドボイス保持
配送Uber Direct + PickGo (即配) / ヤマトクール便 (教材便)都心と全国を分業
スクール70校Coorum + Lekcha + Teachable/Thinkificコミュニティ・予約・講座を分業
ブライダル装飾Details Flowers または Curate見積/粗利の可視化(チームのみ部分導入)
需要予測Shopify Stocky → 主力10SKUからPoC大型SaaSは即導入しない

× 不採用: Floranext / FloristWare / Hootsuite (北米偏重・オーバースペック)。商品写真をMidjourneyで生成するのも非推奨。

CHAPTER FIVE

最初の30日 — どう進めたいか

Week by week

最初の4週間

主にやること成果物
Week 1 谷口さん/スタッフ/パリの個別ヒアリング、3店舗1日シャドーイング、既存ツール棚卸し 業務マップ v1(実測ベース)
Week 2 触らない領域の正式合意、クイックウィン3本の候補をスタッフと確定、ベースライン計測 聖域メモ/優先順位リスト
Week 3 クイックウィン1本目 (note 下書きAI) を 谷口さんと一緒に試運転 稼働 PoC v1
Week 4 使用感のフィードバック、調整、月次レビュー、次の3ヶ月計画 30日レポート + 90日提案

原則: 1度に1つ動くものを早く出す嫌だと感じたら止める

14 questions

明日からお聞きしたい 14 の問い

  1. 1日の中で、もっとも減らしたい作業 トップ3 は?
  2. 花以外で時間を取られていると感じる業務は?
  3. いま使っているツール(POS / 会計 / 在庫 / 撮影 / 編集)
  4. 過去に試して合わなかったツール/やり方は?
  5. 触られたくない領域・聖域はどこ?
  6. note 週報の執筆プロセス・所要時間
  7. 認定校70校とのコミュニケーション頻度と媒体
  1. パリ店の時差・言語・通貨の実運用
  2. Owners Club 49名への個別対応の濃度
  3. 撮影と SNS 投稿の役割分担(誰が・何分)
  4. 退職に至った要因のうち、組織側で吸収できそうな部分は?
  5. 10年100億計画の 直近12ヶ月 の最優先 KPI
  6. 経理・労務・在庫の数字を見る人とリズム
  7. みなさんが「これは絶対AIにやらせたくない」と思うこと
Promise

次回までに、私がご用意するもの

  • ヒアリングをもとにした 業務マップ v1("花" と "それ以外" の色分け)
  • 聖域メモ — 触らない領域の合意文書
  • クイックウィン3本の 具体的な仕様書(料金・期間・効果想定)
  • note 週報の AI 下書き プロトタイプ(実際に動くもの)
  • 90日ロードマップのドラフト
Thank you

花のために、花以外を片付ける。

これから、よろしくお願いします。

— DX担当より、谷口さんとアイロニーのみなさまへ